母や祖母が大切にしていた着物を買取に出したら、「1枚数百円です」と言われてがっかりした。
購入したときは何十万円もしたはずなのに、なぜこんなに安いのか、と納得できない人は多いはずです。
この記事では、着物の買取が安い理由を、需要、素材と種類、寸法、状態、証紙の5つの点から説明し、がっかりしないための準備と、売り先の選び方、売る以外の手放し方をまとめます。
筆者は古物商許可を取り、古着の仕入れと販売を日常的に行っています。古着としての着物の値付けの考え方をもとに書きます。着物の鑑定の専門家ではないので、個々の着物の価値は着物に強い業者の査定で確認してください。内容は2026年10月15日時点で確認しています。
- 着物の買取が安いのは、中古着物を着る人が限られ需要が少ないこと、仕立て直しやクリーニングに費用がかかること、寸法が合う人が少ないことが主な理由
- 値段がつきやすいのは、正絹で状態がよく、身丈と裄が長めで、証紙や作家名で価値が分かる着物。ポリエステルやウール、シミのある着物、喪服は値段がつきにくい
- がっかりしないためには、相場の現実を知り、証紙や付属品をそろえ、着物に強い業者で比べること。値段がつかない着物は、リメイクや寄付などで手放す方法もある
着物の買取が安くなる主な理由
- 中古着物を着る人が限られる
- 仕立て直しやクリーニングに費用がかかる
- 寸法が合う人が少ない
中古着物を着る人が限られる
着物を日常的に着る人は少なく、中古の着物を買う人も限られています。
一方で、各家庭から売りに出される着物の数は多く、需要に比べて供給が多い状態です。
需要が少ない品物は、買い取っても売れるまでに時間がかかるため、買取価格は低くなります。
査定で「まとめて1箱〇百円」「1枚100円」のように言われることがあるのは、こうした着物を1枚ずつ細かく評価しても、売れる見込みが立たないためです。いわゆる二束三文の査定になるのは、店が悪いというより、着物の中古市場の仕組みによるところが大きいと考えてください。
仕立て直しやクリーニングに費用がかかる
中古の着物は、そのままでは売りにくく、シミ抜き、洗い張り(ほどいて洗う方法)、仕立て直しなどが必要になることがあります。
こうした作業には、専門の職人の手間と費用がかかります。
買取店は、その費用を差し引いて買取価格を決めるため、手入れが必要な着物ほど安くなります。
寸法が合う人が少ない
着物は、身丈(着物の長さ)や裄(背中の中心から袖口までの長さ)が、着る人の体に合っている必要があります。
昔の着物は、今の人の平均的な体格より小さめに作られていることが多く、寸法が合う人が限られます。
寸法が小さい着物は、仕立て直しても長くできないことがあり、評価が下がりやすくなります。
40年、50年前に仕立てた着物は、寸法が小さめで、保管中のシミや黄ばみも出やすいため、安くなりやすい条件が重なります。ただし、古くても正絹で状態がよいものや、産地物・作家物は評価されることがあります。古い着物の見方は、古い着物は売れるかの記事で説明しています。
値段がつきにくい着物の特徴
- ポリエステル・ウールの着物
- シミ・カビ・黄ばみがある着物
- 喪服や寸法が小さい着物
ポリエステル・ウールの着物
ポリエステルやウールの着物は、絹(正絹)の着物に比べて、中古での需要が少なく、値段がつきにくいです。
ポリエステルの着物は、家庭で洗えるなど便利ですが、新品でも比較的手ごろに買えるため、中古の価値は低くなります。
シミ・カビ・黄ばみがある着物
長くたんすにしまっていた着物には、シミ、カビ、黄ばみ(黄変)が出ていることがあります。
シミやカビは、取り除くのに専門の手入れが必要で、完全に取れないこともあるため、大きく減額されるか、値段がつかないことがあります。
喪服や寸法が小さい着物
喪服(黒の紋付)は、家紋が入っているため、ほかの家の人が着にくく、中古の需要が少ない着物です。
黒留袖も、家紋入りが多いため、評価が低くなりやすい傾向があります。喪服の扱いは、喪服の着物の買取の記事で詳しく説明しています。
寸法が小さい着物も、着られる人が限られるため、値段がつきにくくなります。
値段がつきやすい着物の特徴
- 正絹で状態がよい
- 身丈と裄が長め
- 証紙や作家名で価値が分かる
正絹で状態がよい
正絹(絹100%)の着物で、シミやカビがなく、状態がよいものは、値段がつきやすくなります。
一度も着ていない、仕立てたまま(しつけ糸がついたまま)の着物は、特に評価されます。
身丈と裄が長め
身丈と裄が長めの着物は、今の人の体格に合いやすく、着られる人が多いため、評価が上がります。
寸法は、着物を広げてメジャーで測れます。査定の前に測っておくと、話が早く進みます。
証紙や作家名で価値が分かる
大島紬や結城紬などの伝統的な産地の着物には、産地や品質を示す「証紙」がついていることがあります。
有名な作家の着物には、作家名が入った落款(らっかん)や、証明書がついていることがあります。
証紙や作家名で価値が分かる着物は、評価が上がりやすいので、たとう紙の中などを探しておきます。証紙の役割と探し方は、着物の証紙とはの記事で説明しています。
がっかりしないための準備と手放し方
- 相場の現実を知っておく
- 証紙・付属品をそろえ、着物に強い業者で比べる
- 値段がつかない着物はリメイク・寄付へ
相場の現実を知っておく
着物の買取価格は、購入時の価格とは関係なく、中古での需要で決まります。
購入時に高かった着物でも、数百円から数千円になることは珍しくありません。
最初から相場の現実を知っておくと、査定額を聞いたときのショックが小さくなり、冷静に判断できます。
証紙・付属品をそろえ、着物に強い業者で比べる
証紙、作家の証明書、たとう紙、帯や帯締めなどの和装小物は、そろえて出します。
着物の買取に強い業者は、産地や作家、技法を見分けて評価してくれるため、一般のリサイクル店より値段がつきやすいです。業者の比べ方は、着物買取の選び方の記事にまとめています。
価値がありそうな着物は、2〜3社で査定を受けて比べます。出張買取を使う場合は、訪問購入のルール(クーリング・オフなど)を知っておくと安心です。着物は訪問購入の対象になる品物で、書面を受け取ってから8日以内ならクーリング・オフができます。当日の流れは、着物の出張買取の記事で説明しています。
査定額に納得できなければ、売らずに断ってかまいません。「今回は見送ります」と伝えるだけで十分です。出張買取でも、査定を受けたからといって売る義務はありません。
値段がつかない着物はリメイク・寄付へ
値段がつかなかった着物は、洋服や小物にリメイクする、着物を必要としている団体に寄付する、着物を扱う知人に譲る、などの方法で手放せます。
思い出のある着物は、一部を小物にして残す、という方法もあります。値段がつかない着物の手放し方は、値段がつかない着物の記事で詳しく説明しています。
値段がつきやすい着物・つきにくい着物の比較
| 項目 | 値段がつきやすい | 値段がつきにくい |
|---|---|---|
| 素材 | 正絹 | ポリエステル・ウール |
| 状態 | シミ・カビなし、未着用 | シミ・カビ・黄ばみ |
| 寸法 | 身丈・裄が長め | 小さめ |
| 証明 | 証紙・作家の証明あり | 証明なし |
| 種類 | 訪問着・紬・人気の柄 | 喪服・家紋入りの留袖 |
ユイ母の着物、買ったときは何十万円もしたのに、数百円と言われました。
ケイ着物の買取価格は、購入時の値段じゃなくて、中古で着る人がどれだけいるかで決まるんだ。需要が少なくて、手入れや仕立て直しの費用もかかるから、安くなりやすいんだよ。
ユイ少しでも高く売るには?
ケイ証紙や帯をそろえて、着物に強い業者で2〜3社比べることだね。値段がつかない着物は、リメイクや寄付で活かす方法もあるよ。
よくある質問
着物の買取はなぜ安いのですか?
中古着物の需要が少ないこと、手入れや仕立て直しに費用がかかること、寸法が合う人が少ないことが主な理由です。
どんな着物なら値段がつきますか?
正絹で状態がよく、身丈と裄が長めで、証紙や作家名で価値が分かる着物です。
着物の査定で100円と言われるのはなぜですか?
需要が少ない着物は、1枚ずつ評価しても売れる見込みが立たず、まとめて低い金額になるためです。
喪服など家紋入りの着物も、需要が少なく値段がつきにくい着物です。
証紙とは何ですか?
伝統的な産地の着物などについている、産地や品質を示す紙です。
シミのある着物は売れますか?
大きく減額されるか、値段がつかないことがあります。
着物に強い業者で査定を受けてください。
値段がつかない着物はどうすればいいですか?
リメイク、寄付、知人に譲るなどの方法があります。
まとめ:次の一手
着物の買取が安いのは、中古着物の需要が少ないこと、手入れや仕立て直しに費用がかかること、寸法が合う人が少ないことが主な理由です。正絹で状態がよく、寸法が長めで、証紙などで価値が分かる着物は値段がつきやすくなります。
がっかりしないためには、相場の現実を知り、証紙や付属品をそろえ、着物に強い業者で比べることが大切です。
次の一手は、着物のたとう紙の中を確認し、証紙や証明書がないか探すことです。
種類ごとの相場の目安は、着物の買取相場の記事で確認してください。
