親が亡くなり、実家の片付けをしなければならない。
家具、服、着物、食器、貴金属。たくさんの遺品を前に、何から手をつければいいのか分からない、という人は多いはずです。
遺品を売るときは、相続の手続きとの関係や、家族との相談など、普通の不用品を売るときとは違う注意点があります。
この記事では、遺品を売る前に確認したいこと、売る順番、価値のある品物の仕分け方、売り先の選び方、遺品整理の業者と買取業者の違いを説明します。
筆者は古物商許可を取り、古着を中心に古物の売買を日常的に行っています。法人の代表と個人事業主を兼ね、各種の手続きを自分で行っています。相続の手続きの判断は、弁護士・司法書士・税理士などの専門家に確認してください。内容は2026年10月15日時点で確認しています。
- 遺品を売る前に、相続の手続きとの関係を確認する。相続放棄を考えている場合、遺品を売ると相続を認めたとみなされることがあるので、先に専門家に相談する
- 売る順番は、①家族で相談する、②貴重品や形見を分ける、③価値がありそうな品物(貴金属・ブランド品・着物・骨董品など)を専門の業者に出す、④残りをまとめて片付ける
- 遺品整理の業者は片付けが中心で、買取は一部の業者のみ。価値のある品物は、片付けとは別に、その品物に強い買取業者に出すと、安く扱われるのを防げる
遺品を売る前に確認したいこと
- 相続放棄を考えているなら先に相談
- 遺言書と財産を確認する
- 家族で相談して合意する
相続放棄を考えているなら先に相談
亡くなった人に借金などがあり、相続放棄(財産も借金も受け継がない手続き)を考えている場合は、遺品を売る前に注意が必要です。
民法では、相続人が相続財産を処分すると、相続を認めた(単純承認した)とみなされることがあるとされています。
遺品を売ったことで、相続放棄ができなくなるおそれがあるので、相続放棄を考えている場合は、遺品に手をつける前に、弁護士や司法書士に相談します。
遺言書と財産を確認する
遺言書がある場合は、遺品の分け方が指定されていることがあります。
また、価値の高い品物(貴金属、美術品、骨董品など)は、相続財産として、相続税の申告に関わることがあります。
遺品の中に価値の高い品物がありそうな場合は、売る前に財産の全体を把握し、必要に応じて税理士に相談します。
なお、遺品を売って得たお金にかかる所得税は、相続税とは別の話です。服や家具など生活に使っていた品物は、売っても原則として所得税はかかりませんが、1点30万円を超える貴金属や書画・骨とうなどは扱いが違います。考え方は、不用品を売ると税金はかかるかの記事で説明しています。
家族で相談して合意する
遺品は、相続人全員の共有の財産になっていることがあります。
ひとりの判断で売ると、あとで「形見にしたかったのに」「勝手に売った」と家族の間でもめることがあります。
何を残し、何を売るかは、家族で相談して合意してから進めます。
遺品を売る順番
- 貴重品と形見を先に分ける
- 価値がありそうな品物を専門の業者へ
- 残りをまとめて片付ける
貴重品と形見を先に分ける
最初に、現金、通帳、印鑑、権利書、保険の書類などの貴重品と、家族が形見として残したい品物を分けます。
貴重品は、相続の手続きに必要になることがあるので、まとめて保管します。
形見は、家族それぞれの希望を聞いて決めます。
価値がありそうな品物を専門の業者へ
次に、貴金属、ブランド品、時計、着物、骨董品、美術品、カメラなど、価値がありそうな品物を分けます。
これらは、片付けの業者にまとめて引き取ってもらうより、それぞれの品物に強い買取業者に出すほうが、価値を正しく評価してもらえます。
残りをまとめて片付ける
価値のある品物を分けたあとの、家具、家電、日用品、服などは、出張買取でまとめて売るか、遺品整理の業者に片付けを頼みます。
値段がつかない品物は、自治体のルールに従って処分します。
価値がありそうな品物の見分け方
- 貴金属・ブランド品・時計
- 着物・毛皮・骨董品・美術品
- 箱や証明書があるものは捨てない
貴金属・ブランド品・時計
金やプラチナのアクセサリー、ブランドのバッグや財布、腕時計は、遺品の中でも値段がつきやすい品物です。
壊れたアクセサリーや、動かない時計でも、素材やブランドによっては値段がつきます。古い時計の見方は古い腕時計の買取の記事、貴金属の売り先は貴金属を売るならどこの記事で説明しています。
着物・毛皮・骨董品・美術品
着物、帯、毛皮、掛け軸、壺、茶道具、絵画なども、価値がある場合があります。
骨董品や美術品は、見た目では価値が分からないことが多いので、自分で判断せず、専門の業者に見てもらいます。着物の業者の選び方は、着物買取の選び方の記事にまとめています。
量の多い服は、ブランド物だけを分けて、残りはまとめて手放すのが現実的です。服の手放し方は、いらない服を売る方法の記事で比べています。
箱や証明書があるものは捨てない
共箱(作家の署名入りの箱)、鑑定書、保証書、証紙(着物の産地を示す紙)などは、品物の価値の裏付けになります。
古くて汚れた箱でも、捨てずに品物と一緒に保管します。
売り先の選び方と、業者の違い
- 遺品整理の業者は片付けが中心
- 価値のある品物は専門の買取業者へ
- 出張買取のルールを知っておく
遺品整理の業者は片付けが中心
遺品整理の業者は、遺品の仕分け、運び出し、処分、部屋の清掃などを行う業者です。
買取も行う業者もありますが、片付けが中心なので、品物ごとの価値を細かく評価しないこともあります。
片付けの費用から、買取の金額を差し引く形で精算することもあるので、内訳を確認します。
遺品整理や不用品回収の料金は、部屋の広さ、品物の量、作業の人数で大きく変わります。見積もりは2〜3社から取り、追加料金がかかる条件を書面で確認しておきます。家庭から出るごみを運ぶには自治体の許可が必要なので、許可を受けた業者か、許可業者と連携している業者かも確かめておくと安心です。
価値のある品物は専門の買取業者へ
価値のある品物は、片付けとは別に、その品物に強い買取業者(貴金属、ブランド品、着物、骨董品など)に出すと、安く扱われるのを防げます。
片付けを頼む前に、価値のある品物を分けておくことが大切です。
出張買取のルールを知っておく
遺品は量が多いので、出張買取を使うことがよくあります。
業者が自宅を訪問して買い取る訪問購入では、業者は法定書面を渡す義務があり、売った人は、法定書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフができます。
頼んでいない品物まで買い取ろうとする業者には注意し、家族の誰かが立ち会うようにします。手続きのしかたは出張買取のクーリング・オフの記事で、業者の比べ方は出張買取の選び方の記事で説明しています。
実家そのものを売る予定がある場合は、不動産会社に査定を頼む前に、価値のある品物を分けておくと、片付けの段取りが立てやすくなります。
遺品の種類と売り先
| 遺品の種類 | 向いている売り先 |
|---|---|
| 貴金属・ブランド品・時計 | 貴金属・ブランド品の買取業者 |
| 着物・帯・毛皮 | 着物・毛皮に強い買取業者 |
| 骨董品・美術品 | 骨董品に強い買取業者 |
| 家具・家電・日用品 | 出張買取・遺品整理の業者 |
| 値段がつかない品物 | 自治体のルールで処分 |
ユイ親の遺品、すぐに片付けの業者に全部頼もうと思っています。
ケイその前に、貴金属や着物、骨董品など、価値がありそうな品物を分けておこう。片付けの業者にまとめて出すと、安く扱われることがあるんだ。
ユイ相続放棄を考えているんですが、売ってもいいですか?
ケイ遺品を売ると、相続を認めたとみなされることがあるから、手をつける前に弁護士や司法書士に相談してね。
よくある質問
遺品はいつから売ってもいいですか?
決まった時期はありませんが、相続の手続きとの関係を確認し、家族で相談して合意してから進めます。
相続放棄を考えている場合、遺品を売ってもいいですか?
相続財産を処分すると、相続を認めたとみなされることがあります。
先に弁護士や司法書士に相談してください。
価値のある遺品はどう見分けますか?
貴金属、ブランド品、時計、着物、毛皮、骨董品、美術品などは価値がある場合があります。
自分で判断せず、専門の業者に見てもらってください。
遺品整理の業者と買取業者は何が違いますか?
遺品整理の業者は片付けが中心で、買取業者は品物の価値を評価して買い取ります。
遺品を売ったら税金はかかりますか?
価値の高い品物は、相続財産として相続税の申告に関わることがあります。
売って得たお金の所得税は、生活用の品物なら原則かかりませんが、30万円を超える貴金属や骨とうなどは扱いが違います。迷ったら税理士に相談してください。
出張買取で遺品を売るときの注意は?
家族の誰かが立ち会い、法定書面を受け取り、8日以内のクーリング・オフのルールを知っておくことです。
まとめ:次の一手
遺品を売る前に、相続放棄を考えているかどうか、遺言書や財産の状況を確認し、家族で相談して合意します。相続放棄を考えている場合は、遺品に手をつける前に専門家に相談します。
売る順番は、貴重品と形見を分け、価値がありそうな品物を専門の買取業者に出し、残りをまとめて片付けることです。
次の一手は、家族で集まり、残したい形見と、売ってもよい品物を話し合うことです。
骨董品の扱いは、骨董品買取の注意点の記事で確認してください。
